東京都OL協会 普及指導部 ファミリースポーツ促進事業とは

こんにちは、東京都オリエンテーリング協会(東京都OL協会、都協会)で普及指導部長を務めている新田見俊宣(にたみとしのり)と申します。

12/6のオリエンティア Advent Calendar 2018で都協会で都庁・新宿中央公園で10月に行ったスポレク大会(都庁スプリント)の渉外の内容を書かせていただきました。(内容はこちら。)

しかし、なぜ普及指導部でスポレク大会の主管をしているのかは(どうでもよいことではありますが)私の中では少し疑問でした。(普及?指導??)

今年度に東京都の施策に便乗して行った普及活動を案内したいと思います。

ファミリースポーツ促進事業とは?

きっかけは平成29年の終わり頃に届いたアンケートでした。

東京都OL協会が加盟している東京都レクリエーション協会(都レク)から平成30年度に計画している「ファミリースポーツ促進事業」に応募するかどうかのアンケートが届きました。

担当は普及指導部でしょう、ということで私のところにアンケートが回ってきました。 資料をざっとみると、ファミリー層に向けたイベントを行うと補助金が出るという内容のようでした。

スポレク大会やらなんやらで東京都協会に参加する各クラブへの動員要請が多くて疲れていた私は「これ以上イベント増やすのはやってられないなー」と思いしばらくほったらかしにしていました。

しかし、アンケートの回答期限が迫ってあらためてもらった資料を見てみると、年に最低4回体験会などのイベントを行うと60万円の予算が使えるとあります。

新たに体験会等をするのは大変だけどそもそも各クラブで体験会のイベントはやっているではないか?と思いつきました。

私が加入している練馬OLCでも毎年練馬こどもまつりというイベントにブース出展しているし、東大OLKや多摩OLも体験クラスや体験会をしているし、フォトOの講習会も何度かやっているからこれらを対象にしてしまえばいいのではないか、と思いつきました。予算60万円は大きい!

2018年1月に説明会がありましたが都合が悪かったので都レクに話を聞きに行きました。

東京都は2020年に18歳以上の都民のスポーツ実施率70%を目指して「スポーツ都市東京」の実現を推進する「東京都スポーツ推進総合計画」を立てています。

スポーツ実施率というのは週に1回スポーツを実施する人の比率で、平成28年で56.8%だったそうです。 この計画達成の施策の一つとして「ファミリースポーツ促進事業」というのを始めたようで、平成29年度から行われていたようです。スポーツを定期的にする人のきっかけを作ろうということでしょう。

この事業についてはスポレク大会などと同様に東京都と都レクが主催になり、その下で東京都OL協会が実施するという形になるようです。

来年度(1月当時)の施策なので予算が承認される3月以降に決定だが、平成29年度と同様に平成30年度も実施予定とのこと。

30団体が上限だがまだ空きがあるので応募すれば承認されるだろうとのこと。

他の団体の主催する体験会を教えてもらいましたが、想定していた既存の体験会でも十分対象になりそうです。(「ファミリースポーツ促進事業」で検索するといくつも出てきます)条件をクリアできるのであれば予算もらえたらいろいろ試せるのでは?と思い、これは参加したほうがよいのではないかと思いました。

東京都オリエンテーリング協会の理事会で提案してみたところ、問題ないだろうということで応募することにしました。

ただし、最初に応募の段階で実施回数を決める必要があり、これは後から変更できないとのことで東京都OL協会所属の各クラブに照会したところ全部で7回実施することになりました。

今回は初めての応募で勝手がわからないこともあり、とにかく予定の体験会を滞りなく実施することと、集客に効果的な方法を探りたいといったところをとりあえずの目標としました。内容は事業の趣旨に沿って、主に家族連れ向けのオリエンテーリング体験会です。

子供にはメダルが最強

予定通り、平成30年の4月下旬に応募の承認が下りて、最初に実施することになったのが5月12日に実施した練馬こどもまつりへのブース出展です。

光が丘公園で毎年実施される練馬こどもまつりには練馬OLCはここ数年ずっと参加しており、子供向けの遊びや体験ができるブースの一つとして結構人気を博していました。

平成29年には、無料の体験コーナーとはいえ、470名ほどの参加者を集め、東京都内のオリエンテーリングイベントとしては1,2を争う集客があります。

事業への参加の承認が下りてから実際の本番まで準備の時間もありませんでしたが昨年との違いとして子供の参加賞にメダルを用意することと、せっかくなので7回の体験会をスタンプラリーとして3回参加したら商品ゲットということにしました。

練馬こどもまつりについては例年たくさんの家族連れが来てくれるので特に告知はせず、メダルを目立つところに並べて集客することにしました。

こんな感じ。

作戦は見事にあたり、メダルをほしい子供が次々に体験コースに挑戦してくれます。

昨年より更に良い出足でしたが、一番の違いは完走率の高さ

昨年までは参加はしてくれますが、コースを回っているうちに他の出し物に参加してそのまま帰ってこないという例が多く、完走率はおそらく50%を切っていました。

しかし、ゴールすればメダルをもらえるのでほとんどの子供が夢中でゴールまで戻ってきてくれます。

更にメダルをぶら下げてこどもまつりの中をウロウロしていると、「そのメダルどうしたの?」「オリエンテーリングでもらったの。」と聞いて次々と子供がやってきました。

昨年の参加者からの上積みがあるだろうと地図は600枚印刷し、メダルは子供だけなので300個ほど用意していましたが、だんだん残り少なくなり、最終的には582名の参加があり、メダルはついには品切れとなってしまいました。大盛況でした。

ファミリースポーツ促進事業の第一回目としては上々の成果といえましょう。

振り返ってみますと、以下の点が成果、課題でしょうか。

■良かった点・うまく行った点

  • メダルを用意した効果で参加率・完走率が大幅に増えた。子供も喜んでくれて運営側も励みになる。
  • 運営者に交通費・昼食を用意できた。やはり少し元気が増えます。
  • 運営クラブにも地図代が支給された。今までは完全に持ち出しでした。

■うまく行かなかった点・これからの点

  • スタンプラリーを実施したが、後の回の予定が決まっていなかったり、次回が遠方だったりと参加者にはあまり魅力的に映らなかったようで、PRにも力が入りませんでした。
  • 今回はおまつりに参加という形でそもそもファミリーの来場がとても多かったこともあり集客には困りませんでしたが、普通に体験会を実施する場合に集客をどうするのか?という課題が残りました。

運営者からも「今までも交通費くらいは出してほしかったよね。」「メダルの効果はすごいね。」といった声が出ていました。

このメダルは、直径7センチと大きめで子供へのPRは絶大でしたが、600個で約2万円と1個あたり約30円というコストパフォーマンスの良さも魅力でした。もちろんあからさまにおもちゃですが、「これ、本物なの?」と子供からも質問が出ていました。とにかく金色に光って大きければいいんです。

お店のPRではないですが、こちらから購入しました。

学校にチラシを配ってください。

第二回目の体験会は東大OLKにお願いしました。6月2日の東大大会前日大会に併設でやってもらうことになりました。

課題は2つ。

1つ目は運営者の確保。

そもそも東大大会に運営者が行ってしまっている中で実施している前日大会ですから更に体験会をするというのは人出不足になるのが必定です。それもあってかなくてか、実際に体験会をすることに決まったのは割と日程も差し迫った頃でした。

ただし、今回は予算があるので助っ人のお願いが格段に容易です。交通費・日当を支給可能ですので、前日大会に参加する方に手伝ってもらうことができました。

体験会だけ実施するとなると運営者を集めるがなかなか難しいこともありますが、大会や練習会に合わせて行えば、参加者に手伝ってもらうことが可能です。交通費や日当まで出れば喜んで手伝ってくれる人は多いですよね。

2つ目は集客です。

こちらは東大OLKの担当の方から「近隣の小学校にチラシを配れないか?」と相談を受けました。なるほど、と思い私から対応してみることにしました。

しかし、小学校に依頼するのがよいのか、教育委員会に相談するのがよいのかよくわからないので、まずは電話で聞いてみることにしました。

候補に3つの小学校があったので、順番に電話をして聞いてみると

「いいですよ。」

「とりあえずチラシを見せてください。」

「教育委員会からの依頼でないとチラシ類は配布していません。」

と3者3様の回答。

「チラシを見せてください。」という学校には訪問して副校長先生に相談したら、配布OKとなりました。

残る1校については教育委員会に電話をして相談してみたところ、東京都からの依頼文書があれば対応可能ということでした。

東京都に相談したところ依頼文書を発出してくれることになり、ぎりぎりのタイミングにはなりましたが3校ともチラシを配布してくれることになりました。3校あわせて約1,000人の児童がいるので1,000枚のチラシを作成して各学校に渡しました。

こんな感じ。

さて、当日はいい天気に恵まれ、東大大会前日大会も盛況に行われている中、現地を見ていましたが、集合場所の近くにはほとんど子供がいません。

「これは参加者20名くらいかな。。」

と思いながら受付場所の用意をしていると受付開始時刻の14時の少し前から自転車に乗った親子が次々とやってきます。体験会に参加しようとやってきた親子たちでした。

受付開始しても次々と参加者がやってきます。

受付時間を14時〜15時としていたのですが、みなさん14時に来ないといけないかと思ったらしく、いきなり長蛇の列となります。しかし、助っ人を含め多めの運営者で行っていたのでなんとか対応しきることができました。

わずか1時間の体験会でしたが110名の参加をいただくことができました。

また、今回もメダルは子供に好評でした。子供が喜んでくれると運営者も嬉しいんですね。

子供にメダルをかけてあげてうれしそうな谷野さん

今回得た知見としては、小学校へのチラシ配布の効果が大変大きいということです。

学校から子供がチラシを持ってきたら、親御さんも「何だろう?」と思って内容を見てくれる方も多いでしょうから、ポスティング等するよりもかなり効果的と思います。また、結構直前まで調整可能ですし、逆に直前のほうが来てもらえるかもと思いました。あまり前の告知だと忘れちゃいますからね。

今回学校や教育委員会に伺ってみると、東京都主催のイベントだと小学校へのチラシ配布は基本的にOKとのことでした。体験会の日程・場所は事前に東京都にお伝えしますが、基本的に体験会は自由に決めて行うことができます。東京都主催のイベントを行うことができる効果は絶大だと実感しました。

正直なところ予算に惹かれてファミリースポーツ推進事業に参加してみましたが、この効果を考えると、予算をもらえるよりも東京都主催のイベントとして行える方が意義が大きいのではと思いました。

是非来年も事業を継続してほしいと思いましたし、仮に事業が縮小してもオリエンテーリングを採択してもらえるように、より効果的に行う必要があると思いました。

ちらし配布依頼の段取り

ただ、今回は学校にチラシを配る手配をするまでが結構面倒でしたが、どうも学校に直接相談するのではなく、教育委員会に相談して、各学校に配布してもらうやり方がよいようで、その後行った板橋区、練馬区とも教育委員会に連絡したら大変スムーズに行きました。

私の行った段取りはこんな感じです。

(1)アポなしで訪問

電話で事前に話をしようとすると、中々内容がうまく伝わらず、「はっ?何ですか?」的になりがちなので直接区役所・市役所に行きます。担当はだいたい教育委員会の総務担当的な部署が対応してくれるようですが、わからなければ、「東京都主催のイベントのチラシを小学校に配布してもらうお願いに来ました」と受付で言うと担当を教えてくれます。

(2)行事及びパンフレットの説明

持っていく資料は3つです。

①概要説明資料

ファミリースポーツ促進事業の説明、オリエンテーリングの概要、これまでの体験会の概要を記載した資料です。 >> 説明資料

こちらの資料では特に、今まで他の区でチラシを配布させてもらったという実績を訴えております。これを見てたいてい安心してOK出してもらえます。

②チラシの案

チラシには「主催:東京都」を入れるように指示を受けていますが、これを見せると確実にOKです。「あっ、東京都が主催になっていますね。」と確認されたこともあります。

③ファミリースポーツ促進事業に承認された文書

東京都オリエンテーリング協会がこちらの事業を請け負っている証拠の文書です。普通は必要ないですが、仮に聞かれた時のために持っていっています。

こちらを説明すると、まず問題なく、「それではチラシができたら持ってきてください」と言っていただけます。ただし、東京都からの依頼文書をつけてほしいと要望される場合があります。その際は東京都にお願いすると1週間くらいで正式な文書として作成してもらえます。

(3)チラシの持参

プリントパックで印刷して、学校ごとに仕分けをしてチラシを持参します。学校ごとに分けてあればたいていは各小学校に送ってもらえます。ただし、枚数が多いと持っていくのが結構大変です。

次々と体験会

おおまかな骨組ができたので、少しずつアレンジしてその後4回実施しました。東京都が主催だと小学校にチラシを配布できるのは他の区や市でも同じで、体験会もバリエーションを変えながら行ってきています。

第3回目は7月29日に赤塚公園で行われたClub阿闍梨主催のパークOにあわせて体験会を行ってもらいました。近隣の小学校に 2,000枚のチラシを持っていって配布してもらいました。

当日は夏の暑い真っ盛りでしたが70名もの参加がありました。

すでに暑さを忘れていますが、当日は最高気温32度。

第4回目は従来から行っていたフォトO講習会の延長で、8月4日に 親子オリエンテーリング教室 in 上野公園(東京都協会運営) を開催。こちらは定員も限っていたので「こくちーず」というサイト経由で告知。定員通り25名参加

第5回目は10月14日に 体験会 in 光が丘公園(練馬OLC運営) 光が丘公園近隣の9小学校に4,000枚程度チラシ配布し、302名参加

第6回目は10月20日に伊豆大島オリエンテーリング大会にあわせて 伊豆大島ナビたびイベント2018(ナビたび合同会社運営) を実施。サイトでの告知や、伊豆大島観光協会にてチラシを配布して25名参加。

当日の模様はこちら

順調に計画を実施し、参加者も密かに狙っていた1,000人を突破しました。最初に申請した通りのイベント数が開催できないとまずいようでしたが、ようやく東京都レクリエーション協会の担当の方にも安心してもらえました。

体験会は楽しい

さて、体験会は参加いただいた参加者のファミリーや子どもたちにも楽しんでもらえますし、運営者もそれなりに楽しめます。

参加者が楽しい

まずはせっかく体験してもらったのに楽しくなければ仕方ありません。とにかくポストを発見できるのが楽しいですから、まずは簡単なコースで。

子供向けの簡単なコース。小学生低学年でもグループで回ってこれます。

親子や友達同士で一緒に楽しく走り回れるのがいいですね。

運営者も楽しい

参加者がたくさん来てくれて、喜んでくれると運営していても嬉しくなってきます。

次々に参加いただけると励みになります。この後はもっと参加者が増えて写真をとっている場合ではなくなりました。

ゴールして喜んでいるのを見るのが最高ですね。

今年度最後の体験会

そして今年度最後となる第7回目の事業として2019年1月6日に国営昭和記念公園にて 体験会を予定しています。

こちらは昭和記念公園にパーマネントコースを設置しようという東京都協会の活動の中で、実際にオリエンテーリングを公園内で行ったときにどんな影響が出るのかを確認してみたいという公園側の要望にも対応したものです。

簡易なコースですが都合よければお誘い合わせの上、ぜひ参加ください。もちろん小学生以下の子供には完走メダルを用意します。

11:00-13:00の間に西立川口に来てもらえれば参加できます。

今回も昭島市、立川市の小学校に全部で6500枚ほど告知のチラシを配布します。昭和記念公園は中学生以下は入園料は無料ですが、大人は有料なので、有料でもどの程度参加してもらえるかを測るよい機会です。

うまくいって昭和記念公園にもパーマネントコースができるといいですね。

今年の施策をどう活かすか

残すところあと1回となりましたが、面倒くさがらずに一歩踏み出してファミリースポーツ促進事業に応募したおかげで少しでも多くの方にオリエンテーリングを体験してもらう機会ができましたし、いろいろな知見を得ることができました。

来年も東京都でこの事業を継続してくれるのであれば是非続けたいところではありますが、一度振り返っておく必要があります。

■よかったこと・得られた知見

これはこれまでの文章の繰り返しになりますが、

(1)参加してくれた人はたいてい楽しんでくれる。

(2)子供への参加賞としてメダルは最強ではないか

(3)小学校へのチラシ配布は集客に非常に効果的

(4)楽しんでいる参加者を見ているのは楽しい

■今後の課題

最初からわかっていたこともありますが、

(1)リピートのための作戦が必要

1回限りでの体験会の実施も効果はあると思いますが、ここで興味を持ってもらった人への次のステップを用意できればと思います。

・定期的に近い場所で体験会を実施する

・もう少し本格的なテレインでの体験を用意する

・参加者をリスト化してイベント告知のアプローチができるようにしたい。

(2)費用面での継続性確保が必要

今年度は東京都の施策に乗ることで予算を確保できましたが、継続的に行うにはある程度の収益を確保しての施策でないと難しいです。

・参加費をとるか

・他のイベントでの収益を回す仕組みとするか。(大会や練習会とセットで行うなど)

(3)普及活動への参画者の募集

各体験会の運営にとどまらず、一緒に普及活動を考えたり企画してみたいという方がいれば是非一緒にお願いします。また、他にも普及活動を行っている方たちと情報共有できればと思います。

一緒にやってみたいという方がいれば是非お声がけください。昭和記念公園での体験会の運営参加もまだ受け付けています。

連絡先:toshi[at]nitami.comまで

普及活動としてはまだまだ他にもできることあると思いますがあまり風呂敷を広げても企画倒れになりそうなので、情報共有しながら少しずつ手がけていければと思っています。

今年取り組んでみて、少しずつ普及指導部長らしくなってきたかなと自分で思いました。(”指導”についてはゼロですが)

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